英語学習
TOEICを独学で攻略する方法:現実的な学習プラン

TOEICは英語試験のなかでも珍しく、とても役に立つ性質を持っています。きわめて予測可能なのです。同じ7つのパートが同じ順で並び、同じ問題タイプが出て、請求書・出荷の遅れ・社内連絡・会議室の予約という同じ狭い世界が、毎回ほとんど変わらずに出てきます。
この予測可能性こそが、TOEICの独学が機能する理由です。求められているのは流暢さではなく、固定された一組の作業を速く正確にこなすこと。それはひとりで、参考書とヘッドホンだけで鍛えられます。以下、この試験が実際に測っているもの、自分の本当の出発点からプランを組む方法、そして独学ではどうしても埋まらない部分について書きます。
TOEICが実際に測っているもの
「TOEIC」と言うとき、ほとんどの場合それはTOEIC Listening & Reading テストを指します。マークシート200問を約2時間、スコアは10点から990点——2つのセクション各5〜495点の合計です。
リスニングは約45分で、ペースは音声が決めるので戻ることはできません。
- Part 1 — 写真描写(6問)。写真を説明している文を選ぶ。
- Part 2 — 応答問題(25問)。質問1つと応答3つ、すべて音声のみで紙面には何もありません。耳が弱い人がいちばん落とすのがここです。
- Part 3 — 会話問題(39問)。短い会話に3問ずつ。
- Part 4 — 説明文問題(30問)。アナウンス、留守電、短いプレゼンに3問ずつ。
リーディングは75分で、時計は自分で管理します。
- Part 5 — 短文穴埋め(30問)。空所1つに選択肢4つ。おもに文法と語彙選択。
- Part 6 — 長文穴埋め(16問)。考え方は同じですが、空所が短い文章の中にあるので文脈が効いてきます。
- Part 7 — 読解(54問)。メール、広告、告知、複数文書のセット。試験全体の4分の1以上を占めます。
この先のすべてを決めるべき事実が2つあります。ひとつ、誤答による減点はありません。だから解答欄の空白は純粋な損失で、絶対に残してはいけません。ふたつ、スコアは正答率ではなく換算点なので、正答数が同じでも1〜2点ずれることがあります。

目標スコアを決めて、そこから逆算する
失敗する独学プランはたいていこの工程を飛ばして、参考書の1ページ目から始めます。逆をやってください。いまどこにいるかを知り、どこへ行く必要があるかを決め、その差に方法を選ばせるのです。
まず本番形式の模試を、時間を計って一気に1回解く。不快な作業ですが、この企て全体でいちばん有益な2時間です。ここから3つの数字が要ります。リスニングのスコア、リーディングのスコア、そして手をつけられなかった問題数です。
そのうえで目標は正直に設定します。おおまかな目安として、ETSは合計550点前後をCEFRのB1、785点前後をB2に対応づけています。企業が「ビジネスレベルの英語」と言うとき念頭にあるのは後者の帯です。多くの会社は700〜800のどこかに線を引いていますし、900あたりから上ではスコアが足かせであることは少なくなります。
ペースの目安としては、1日1時間で3か月ほどかけて100〜150点。序盤は速く、800を超えると遅くなります。残った得点はいちばん難しい問題の中にあるからです。診断結果と目標の差がこれより大きいなら、正直な解決策は1日の時間を増やすことではなく、月数を増やすことです。
プランと願望を分けるのは2つの習慣です。ひとつは、パート別・原因別(単語を知らなかった、設問を読み違えた、時間切れ)に整理した誤答ノート。そこに現れるパターンがあなたのシラバスです。もうひとつは、3〜4週間ごとに本番条件で解き直すこと。時間配分の問題を、まだ直せるうちに見つけるためです。

リスニング側の鍛え方
スコアがいちばん速く動くのはたいていリスニングです。多くの人を止めているのは能力ではなく不慣れだからです。音声にはアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの話者が登場するので、これまでの英語学習がひとつの発音だけだった人は、それだけで1段階ぶん損をしかねません。
パートごとに:
- Part 1 は楽な6問。この試験が好む受動態の描写語彙——「棚に品物が置かれている」「建物のそばに車が停められている」——を覚えれば、ほぼ無料の得点になります。
- Part 2 がいちばん叩き込むべきところ。紙面に何もなく、純粋な耳の勝負です。質問の最初の2語を捉える訓練をしてください。そこで正解になりうる応答の種類が決まります。
- Part 3と4 は音声が始まる前に設問を読んでおくと報われます。ナレーションの隙間で先回りし、何を聴くのかを決めておきましょう。
実際に力がつく方法はシャドーイングです。短い音声を流し、半拍遅れで話者に重ねて声を出す。訳すのではなくリズムを写します。1日10分で、1時間の受け身の聞き流しより効きます。
避けたい罠がまさにその聞き流しです。何か別のことをしながらのBGM再生。勉強した感じはしますが、ほとんど何も動きません。その時間を得点に変えたいなら、能動的な作業と組み合わせてください。英会話の勉強法の記事で具体的に整理しています。

リーディング側:時間はどこへ消えるのか
リーディングで目標に届かない人の多くは、難易度で落としているのではありません。時計で落としています。前半に時間をかけすぎて、Part 7 の最後の十数問にたどり着けないのです。
75分の実用的な配分:
- Part 5(30問)——約11分。1問およそ20秒。文全体を読まなくても選択肢だけで決まる問題が少なくありません。名詞・動詞・形容詞・副詞が並んでいたら、それは意味ではなく語形を問う設問です。
- Part 6(16問)——約8分。Part 5より遅くなります。各文章に最低1つは前後の文を要する空所があるからです。
- Part 7(54問)——残りの約56分。設問を先に読み、それから答えを狩りに行く。文章を味わって読んではいけません。
Part 5 が問う文法の範囲は狭く、延々と繰り返されます。語形、動詞の時制、前置詞、接続詞、関係代名詞、主語と動詞の一致。このリストが不安なら、そこを直すのは費用対効果が非常に高く、英文法の基礎の記事でおおむねカバーしています。
もう半分は語彙で、TOEICの語彙はかなり特殊な方言です:invoice, itinerary, procurement, reimbursement, tenant, warranty, shipment, agenda。単語リストではなくフレーズで覚えてください。試験が聞いてくるのはほぼ常に定義ではなくコロケーションです。土台づくりを並行させるのも有効で、日常英単語とすぐ使える例文のストックがあると、オフィス語彙の掛かり先ができます。
12週間の独学スケジュール
1日1時間、週6日。長さは調整して、形は保ってください。
- 第1週 — 診断。時間を計った模試を1回。採点し、誤答ノートを作り、目標を決める。それ以外はしない。
- 第2〜4週 — 土台。1回を半分に割り、30分をリスニング(Part 2の集中演習とシャドーイング)、30分をPart 5の文法に。この段階ではまだ通し模試はやりません。単語デッキを始めて1日10フレーズ追加。
- 第5〜8週 — パート単位で計時。パート丸ごとを時間内で解く形に移行し、1回に1〜2パート、7つを順に回します。ここで1問あたりの本当の速度がわかります。第6週の終わりに通し模試を1回解き、第1週と比べてください。
- 第9〜11週 — 通し模試。週1回の時間計測付き模試、そのあと2〜3回分の学習時間を使って誤答を全部復習し、なぜ正解が正解なのかを説明できるところまで持っていく。まともに復習すると試験本体より時間がかかりますが、それが正常で、得点はそこにあります。
- 第12週 — 調整。新しい教材には手を出さない。誤答ノートを読み返し、2回間違えた問題をやり直し、本番当日に耳が温まっているようリスニングだけは切らさない。
1日飛ばしてもそのまま続けてください。1回抜けてもほとんど損はしませんが、2週間やめてから習慣を建て直すのは高くつきます。
独学では埋まらない穴
正直な限界を書きます。TOEIC Listening & Reading は、英語をひとことも産出させません。認識だけで900に届きますし、実際に届く人は大勢います——そして、取引先との電話1本を最後まで持たせられないことに気づきます。
これは気分の問題だけでなく実務の問題です。TOEIC Speaking & Writing という別の試験があり、企業がそれを求める場面が増えているのは、まさにリスニングとリーディングの高得点が「話せる証拠」として通用しなくなったからです。仮に受けないとしても、スコアレポートのあとの面接は声に出して行われます。
話すことは、それ以外の対策を定着させるいちばん安上がりな方法でもあります。実際の文で口に出した語彙は残り、線を引いただけの語彙は残りません。週に数回、20分の会話を演習と並行させても学習時間はほとんど食われませんし、リスニングの理解も一緒に動きます。生の会話は、台本つきの音声には決してない形で予測不能だからです。
CoffeeTalk はまさにこの穴のためにあります。ネイティブスピーカーと短い会話をつなぎ、トピックを仕事やビジネス英語のほうへ寄せれば、練習が試験の関心と重なります。会話に型がほしければ、英会話完全攻略の記事から始めるのが妥当です。

FAQ
TOEICは独学で対策できますか?
できます。英語試験のなかでも独学と相性がよい部類です。形式が変わらず、問題タイプが繰り返され、語彙も狭いビジネスの世界から出るので、参考書と公式模試でほぼ必要分をカバーできます。例外はスピーキングで、Listening & Reading テストはそれをまったく測りません。
TOEICの対策にはどのくらいかかりますか?
おおまかな目安は1日1時間で3か月ほどかけて100〜150点、序盤は速く800を超えると遅くなります。正直な答えは診断結果しだいです。何かを計画する前に時間を計った模試を1回解いてください。そのスコアと目標の差が期間を決めます。
TOEICは何点あればよいスコアですか?
誰が聞いているかで完全に変わります。ETSは550点前後をCEFRのB1、785点前後をB2に対応づけており、多くの企業は700〜800のどこかに線を引いています。900あたりから上ではスコアが足かせであることは少なくなり、証明書より面接のほうが重くなります。
TOEICは誤答すると減点されますか?
されません。誤答は空欄と同じ扱いなので、答えを書かずに残す理由は一切ありません。Part 7 で時間が尽きそうなら、残ったマークは空白にせず塗りつぶしてください。
TOEICはスピーキングを測りますか?
標準のテストでは測りません。TOEIC Listening & Reading はすべてマークシートで、英語を産出させることは一度もありません。スピーキングとライティングは別途 TOEIC Speaking & Writing テストが測り、いまではメインのスコアと併せて提出を求める企業もあります。